個展がはじまり、個展がおわり

2016.9.29 Tue -10.11 Thu
『あなたがいつかそれを埋めてくれる前に』
at ひるねこBOOKS
無事に始まり、無事に終了しました。

たくさんの人にお越し頂き、心より感謝しています。

私という人間を知らないで、SNSを見て来てくださった方、
知っていてわざわざ足を運んでくださった方、
これまでの展示や製作物を見て、そして来てくださった方、
たまたま通りがかってお店に入ってきてくださった方、
色んな方とお会いすることができました。

個展というものを開催する日がくるとは思いもしなかったけれど、去年の冬の散歩中にNさんが「まりこさん、個展とかするんじゃない」と唐突に言ってから、思ったよりも早くそれが現実となりました。
そもそも個展というものにあまり行ったことがなく、どういうものかほとんどわからないまま、やりたいことをとにかくやれるだけやる、という個展は、最初はコンセプトも見えてこず、どうしようと頭を抱えていたけれど、色んな方にアドバイスを頂いて、こうして立派に(と、いってみる)形になりました。

会期中、短くても良いから毎日ブログを書こう、なるべく全部何もかも覚えておこう、と思ったのに、結局は毎日バタッと寝落ちして朝に在庫を追加生産し(要領悪く、これが限界だった)、ひるねこさんに向かい、そしてお隣のコーツトカフェさんでごはんを食べる、というサイクルで、気がつけばあっという間に終わってしまいました。

(なんと)同い年の店主の小張さんとも、色んな話をしました。
お店には色んな常連さんや北欧好き、児童書好きの方が毎日訪れて、その度に場が温まるような感じがありました。
元同僚のふたりが閉店間際に駆け込んできてくれて、「この一週間相当忙しくて疲れ果てていたけれどあの雰囲気にとてつもなく癒された」と言ってくれた時は、場所としての自分やお店、カフェの役割をひとつ見つけたような気がしました。

心の中の毛布のような存在、風のない芝生と日だまりのような存在、リゾートホテルのベッドの上のような存在(まんますぎか)、寒い日に駅から帰ってきた時に、自分の家に灯りがついているのを見た時のようなあの感じが、これからも自分の活動のイメージです。


今回作って無料配布した図録にも書いたのですが、しばらくとても個人的な記憶からはじまる、思い出すことや記憶に守られて生きるということをテーマに創作していましたが、ようやくこれで一区切り、という感じです。

また、創作活動をやっていくための意識の上でも、大きな区切りとなりました。

5月のデザフェス前に初めて名刺を作って、悩みに悩んで「イラスト作家」という肩書きにして、それを怖くて配れず、しばらく封印していたという(そしてデザフェス二日目で開き直って配り始める)、自我の芽生えのような、定まらない、何やっているのか自分でもわからない、あやうい日々を経て、今回の個展は色んな意味で区切りとなりました。

個展の始まる前から、そして会期中も、私のことを作家として接してくれた人がいたことが、どれだけ大きかったか。
今まで自分で自分のことを作家と思っていなかったことに気づき、そしてもうさすがにそういう時期ではないぞ、というのが今回の一番大きな気づきだったような気がします。
言葉とイラストを一緒にやる、というある意味二刀流も、色んな人に「やめろ」「迷走してる感じがする」「どっちも中途半端になる」「どっちも自信がないような人のような感じがする」と散々言われてきましたが、でもこれがいいんだ、と続けてきて、今回「それがいい」と肯定していただけることが多く、ああ本当にこれでいいんだ、いいかどうかはわからなくても、これでやっていくんだ、と思いました。

そういう意味で、本当にFree at last、という感じの日々でした。
一年前に作りたくて作ったFree at Lastのバッグ。
Freeになりたい人々をあぶり出す(?)力を持っている不思議なバッグです。
その言葉がまた巡り還ってきたような感じでした。
ついに自由になったのだ、という感じ。

解放されてしまった今では、やりたいことはたくさんあって、今までの活動と今回の個展が、それに繋がりますように。ただ願いつつ、また自分の足で歩いて行けますように。

個展の間、ここに来てくれた人たちにとって、何かになれただろうか、というのはずっと考えていました。
わかりませんが、それをこれからも忘れず、ものを作っていきたいと思います。



 

 



コメント